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シューマンと吉松隆

投稿者: ととろお  投稿日:19 Dec 2000 07:27:07

*シューマンおたく学会から転載。




ロムラーのみなさん、おはようございます。



さて、先週行った演奏会の話題。



12月14日(木) JTアートホール(虎ノ門)

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「JTアートホール室内楽シリーズ

 向山佳絵子と仲間たち」

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vlc. 向山佳絵子

vlc. 藤森亮一

pf. 江口玲

pf. 姜愛里

hr. 丸山勉



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シューマン / 民謡風の5つの小品集 op.102 (向山 / 姜)

シューマン / アダージョとアレグロ op.70 (丸山 / 江口)

シューマン / アンダンテと変奏曲 (vlc.×2 / pf.×2 / hr.)



吉松隆 / 虹色ぷりずむ op.17 (vlc.×2 / pf.×2 / hr.)

吉松隆 / プレイアデス舞曲集III op.35 (藤森 / 丸山 / 姜)

吉松隆 / アトム・ハーツ・クラブ・トリオ op.70c (vlc.×2 / 江口)



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予告されていたものはシューマン中心でした。私は吉松さんの作品

が3曲も演奏されるとは知らずに出かけました。けれど、とてもお

もしろいプログラム、楽しい演奏会でした。当初、ホルンは山岸博

さんの出演が予告されていましたが、これが丸山さんに変更されて

いました。また演奏の編成も発表されていませんでしたから、まあ、

op.102はチェロだろうとは思っていましたが(あれをホルンでやっ

ている録音なんて知りません。オーボエ版なら知っているけれど)、

op.70もきっとチェロ版なのだろうなあと思っていたら、さにあら

ず、ホルン版でした。わーい(^^ゞ そして私は今年、なんと2回

も「アンダンテと変奏曲」のオリジナル版を演奏会で聴いてしまい

ました。こんな経験、もう2度とできないかもしれません。貴重な

2回です〜。



この演奏会、珍しい「アンダンテと変奏曲」のオリジナル版を聴く

ことができたといういこと、さらにop.70のホルン版を聴くことが

できたということ、この2つだけでも、私にとっては貴重です。け

れど、冒頭のop.102の演奏のすばらしさは特に記しておかなければ

なりません。チェロは自由な気分に満ちていて、それでいて気品の

ある演奏でした。(しかも、とても情熱的!) とても楽しく朗ら

かなシューマンでした。



ところで、吉松さんの「虹色ぷりずむ」はピアニストの岩崎淑さん

の委嘱作だそうです。その委嘱の内容が「シューマンのアンダンテ

と変奏曲のオリジナル版と同じ編成の作品(ピアノ2、チェロ2、

ホルン1)」というものだったそうです。これはとても神秘的な美

しい作品。プレイアデス舞曲集IIIは古風なイメージをかきたてる、

すばらしく楽しい作品でした。古風でかつ、異国風。そして楽しい。

まるで「風の谷のナウシカ」の世界でした。(久石さんとは作風が

違いますけれど)



「アトム・ハーツ・クラブ・トリオ」、タイトルを見た時には「こ

れは "Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band" (←もちろん、

BEATLES)のパロディかな」と思ったのですが、そうではないよう

でした。でも、ロックをイメージした曲のようで楽しかったです。

チェロがロック調のリズムをゴウゴウと鳴らすところなど、とても

豪快でした。遊び心満載の作品。



この演奏会、シューマンの室内楽と現代曲という取り合わせももち

ろんおもしろかったのですが、後半で取りあげた現代曲が、気難し

いことを言わないで聴き手を楽しませてくれるような楽しい作品ば

かりでしたので、終演後は楽しい気持ちで帰宅することができまし

た。もちろん、演奏なさった方々の技量は抜群で、特に向山さんの

チェロにはいつも深い感銘を受けます(そもそも、楽しいチェロで

す)。けれど、この演奏会ではプログラムの選定、構成というもの

にも感銘を受けました。



# なお、会場には吉松さんもおられました。