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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭

第5回: 2009年 バッハとヨーロッパ

写真昨年のシューベルト祭りでたくさんの公演を聴き、お金も体力も気力も使い果たした(?)私は、もう2008年のLFJの期間中から、「来年以降、シューマンがテーマでない限りはしばらく小休止」と決めていた。ただ、ゆるい調子で、なんとなくでも、せっかく毎年続けて聴いているので、1つくらいはコンサートを聴きたいなと思い、2007年同様、大好きなピアニスト、ケフェレックさんのリサイタルを1つだけ聴いた。

 

●5/4(月) 東京国際フォーラム (ホールD7)

公演番号【257】 (20:30-21:15)

(ピアノ) アンヌ・ケフェレック

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J.S.バッハ=ブゾーニ /
  コラール前奏曲「主イエス・キリスト、われ汝を呼ぶ」 BWV639

J.S.バッハ /
  カプリッチョ 変ロ長調 「最愛の兄の旅立ちにあたって」 BWV992 より アダージッシシモ
  前奏曲 第4番 嬰ハ短調 BWV849 (平均律クラヴィーア曲集 第1巻より)
  前奏曲 第22番 変ロ短調 BWV867 (平均律クラヴィーア曲集 第1巻より)

J.S.バッハ=コーエン /
  カンタータ「イエスは十二使徒をひき寄せたまえり」BWV22 より コラール

J.S.バッハ /
  前奏曲 第8番 変ホ短調 BWV853 (平均律クラヴィーア曲集 第1巻より)

J.S.バッハ=ブゾーニ /
  トッカータ、アダージョ ハ長調 BWV564

J.S.バッハ / パルティータ 第2番 ハ短調 BWV826

J.S.バッハ=ブゾーニ /
  コラール前奏曲 「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」 BWV659

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D7の開場前のハンドベル演奏は昨年もあったそうだが(野ばら?)、何しろ昨年の私はハシゴ状態、開演直前にD7に飛び込んだ日もあったほどだったので、ハンドベル演奏にはまったく気がつかなかった、というより、今年聴くまで知らなかった^^ 今年はのんびり出かけてD7のフロアにあがり、開場をぼーっと待っていたら、突然はじまったハンドベル演奏。曲はおなじみのメヌエット BWV Anh.114。唐突にはじまったので(事前にこのことを知らなかっただけに)、少し驚いたが、透明感のある美しい響きに魅了された。

リサイタルはショートプログラムとはいえ、たくさんの小曲を並べる形の、たいへんに充実した内容。演奏前にケフェレックさんよりフランス語にてスピーチがあり(通訳付)、全体を続けて演奏したいというような趣旨のお話があった。ゆったりした曲ではじめ、ドラマチックな曲に続き、そして最後はまた瞑想的な曲でしめくくるこのプログラムの雰囲気については、禅や能というものを育んだ日本の方であればご理解いただけるものと思います云々。ふと気がつくと、そういえば、なぜかピアノの背後には金屏風…^^

果たして、プログラムの全体は拍手で途切れることなく、ひとつの大きな有機的なつながりのうちに決着した。心地よい時間のうちに終演となった。洒脱でありながらも率直で自然な、そして心温かな語り口はいつにも増してすばらしかった。音楽における善なるものが必ずある、それも何の押しつけがましさもない、穏やかな語り口の中に…。それが私がケフェレックさんのリサイタルを好んで聴きに行く理由だろうか。このバッハのリサイタルも穏やかな、充実したコンサートだった。


残念なことといえば…去年、食べそこねたジャンバラヤ、今年もまた食べられなかったことだ。 (→去年の「ジャンバラヤ」顛末)  来年こそは食べたいな^^

 

写真

夜のガラス棟のバッハ。


写真

今年は経費節約のためなのか、昨年のような「飾り」やイラストがほとんど見当たらず、なんとなく質素で地味な印象。昨年はとても華やかなお祭りの雰囲気を味わえて、それはそれで楽しかったけれど、こういう地味な(質実な)雰囲気も、落ち着きがあっていいかもしれない。

※昨年の写真は → こちら
 

写真

サイケでポップでロックなバッハ?!

 



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2009.05.07